小説家 伊吹 有喜 さん
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直木賞ノミネート作品多数!ドラマや映画化、宝塚歌劇で舞台化された作品も
2022年9月1日よりおわせ観光大使に就任された小説家の伊吹有喜さんは、尾鷲生まれ四日市育ち。
2008年に『風待ちのひと』(「夏の終わりのトラヴィアータ」改題)でポプラ社小説大賞特別賞を受賞し、2009年に小説家としてデビューされました。
2010年には二作目となる『四十九日のレシピ』を刊行され、同作は2011年にNHKにてドラマ化、2013年に女優の永作博美さんが主演で映画化される話題作となりました。
2014年に刊行された『ミッドナイト・バス』では、第27回山本周五郎賞候補、第151回直木賞候補に選出され、2018年にネプチューンの原田泰造さん主演で映画化。
2016年に刊行された『今はちょっと、ついてないだけ』は2022年に俳優の玉山鉄二さん主演で映画化されました。
2017年に刊行された『カンパニー』は、2018年に宝塚歌劇月組にて舞台化され、2021年にNHKBSプレミアムドラマにてドラマ化されました。
また、同年、『彼方の友へ』も刊行され、第158回直木賞候補、第39回吉川英治新人文学賞候補に選出されました。
2020年には『雲を紡ぐ』が刊行され、第163回直木賞候補に選出されるとともに、第8回高校生直木賞を受賞。
また、自身の母校・四日市高校をモデルとした同年刊行の『犬がいた季節』は本屋大賞3位、山本周五郎賞候補に選出されました。
現在は、戦時中の尾鷲市を舞台とした『灯りの島』を小説新潮にて連載中。同作では、尾鷲の美しい海や山の情景描写や地名などのほか、尾鷲弁での会話も印象深く登場します。

座右の銘は「自立と自律」
「自作になりますが『なでし子物語』という作品のなかで、耀子という主人公がずっと心の支えにしている「自立と自律」という言葉が好きです。」

尾鷲の魅力は「自然の美しさ」
「子どものころ、夏に母の郷里である尾鷲に遊びに行くのが楽しみでした。
エメラルドグリーンに輝く川の色が今でも印象に残っています。
現在連載中の長編小説『灯りの島』では、太平洋戦争中から現代にいたるまでの尾鷲を舞台にしています。
小説でもよく出てくるのですが、八幡神社を登って見る景色がとても素晴らしくお気に入りの場所です。」

生節の食べ方、こっそり教えます
「尾鷲の空と海の美しさは格別だと思います。
お魚が美味しいです!お寿司や新鮮なお魚でつくる揚げ物、煮付けも素敵です。
何を食べても魚はどれも美味しいです。
三重の実家では、くき漬けの季節になると、生節とくき漬けを刻んだものに、すりおろした生姜を合わせて母が出してくれましたが、
東京ではサラダやパスタや冷や奴に合わせて楽しんでいます。
一番お手軽で好きなのは、いささか特殊な食べ方かもしれませんが・・・・・・
マヨネーズに粒マスタードをあえて、それを生節につけて食べることです。
食べるとプチンと弾けるタイプのソーセージ&ビールを楽しむ際、上質な瓶入りの粒マスタードを買うことはないでしょうか。私はたまにあります。
そして、ひとたびビール&ソーセージを楽しんだあとで、冷蔵庫の隅に置き忘れることはないでしょうか? 私は多々あります。
粒マスタードは塩やお醤油のように毎日使うものではないので、ついつい存在を忘れがち。
しかし、ふと思いついて、マヨネーズに粒マスタードをまぜ、それを鰹の生節をスライスしたもので、すくって食べたらおいしかったのです。
食べ方にコツがありまして、カップのアイスクリームを木のスプーンですくって食べる要領で、スライスした生節を手に持ち、
マヨ&粒マスタードを豪快にすくっていただきます。そうしますと、マスタードの粒がお口のなかで弾けて、まことに心愉しき味わい。
マヨネーズの油分と粒マスタードの食感と辛み、そして鰹の旨味が凝縮された生節の味と、燻されたことで生じるスモーキーな香り。
こちらを堪能したあと、ビールをぐいぐいっと飲むのが好きです。
・・・といっても最近はあまり飲めないので、クラフト系のジンジャーエールとビールを合わせたシャンディガフで味わうことが多いです。
生姜と鰹といえば、ベストマッチの最たるもの。生姜味の濃いジンジャーエールとも好相性です。
誰かに生節を贈るときは、どなたが召し上がっても間違いなくおいしいサラダやパスタのような使い方をお伝えしています。
でも、私自身はこの食べ方が好きなので、毎回、こっそり言い添えています。」

皆さまへメッセージ

尾鷲にお住まいの皆さま、こんにちは。
「当地、尾鷲をモデルにした「美鷲」を舞台にした『風待ちのひと』でデビュー以来、いつも温かいご声援をありがとうございます。
これからも心をこめて書いていきます。
いつまでもご愛読いただけましたら、とても嬉しいです。」

尾鷲市のホームページをご覧になられた皆さま、こんにちは。
「尾鷲は青く澄んだ空と海、熊野古道の伊勢路がある町。
冬場もぽかぽかと温かく、光に溢れた東紀州の港町です。ぜひ遊びにいらしてください。
緑の森のなかを、ガイドさんとともに行く熊野古道はとても爽やか。
澄んだ空気を味わいながら、美しい石畳の道を進めば、古代の旅人たちの歩みを五感で体験できます。
また尾鷲は朝日が美しい場所です。海から昇る太陽を見ることができます。
夜空を淡い朱色に染めながら、ゆったりと海上に現れる太陽は活力に満ちています。
この町を通る熊野古道の「伊勢路」とは、伊勢神宮と熊野三山を結ぶ道です。
伊勢と熊野。二つの聖地を結ぶ海から昇る太陽は、どこか神秘的でもあります。
私はこの町に滞在すると、早起きして港や尾鷲神社の付近を散歩するのが好きです。港から見る夜明けの景色は、心洗われる清々しさです。
リモートでお仕事ができる方なら、昭和6年に建造された、素敵な洋館をコワーキングスペースにした「シェアスペース土井見世」もおすすめです。
文化財指定を受けている歴史ある洋館でリモートワークができるのは、日本広しといえど、それほどありません。もしかしたらここ、尾鷲だけかもしれません。
小説、詩、漫画といった創作やサークル活動をなさる方にとって、本物の洋館を書斎やアトリエにできる体験は心躍ることではないでしょうか。
会員制ですがウェブから予約しますと、ゲストとして使用が可能です。
熊野古道でのハイキングや、リモートのお仕事に疲れたら「夢古道おわせ」で汗を流して、ほっと一息。海洋深層水のお風呂が心も体も癒やしてくれます。
一風呂浴びたら、おいしいお魚を心ゆくまで召し上がるのはいかがでしょう? お寿司、お造り、焼き魚、てんぷら、煮付け。
目の前の海からあがる新鮮な魚は、どんなお料理方法でも最高に美味であること、請け合いです。
緑の森と、青い海、太陽の活力に出会える町
のんびりしていってください、どうぞ尾鷲で。」

経歴
尾鷲市生まれ、四日市市育ち。
三重県立四日市高等学校卒業後、中央大学法学部法律学科卒業。
1991年に出版社に入社ののち、フリーのライターを経て、2009年に小説家としてデビュー。