平成28年度から適用される主な個人市県民税の税制改正について
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平成28年度から適用される主な個人市県民税の税制改正について
1.ふるさと納税制度に係る改正
(1)特例控除限度額の拡充
平成28年度以後の個人住民税から、都道府県・市区町村への寄附金を支出した場合(ふるさと納税をした場合)に適用される特例控除額の限度額が、個人住民税所得割額の10%から20%に引き上げられます。
平成27年度以前 (平成26年12月31日以前に寄附した場合) | 平成28年度以後 (平成27年1月1日以後に寄附した場合) |
---|---|
所得割額の10% | 所得割額の20% |
(2)所得税の最高税率の引上げに伴うふるさと納税に係る特例控除額の算定方法の改正
平成25年度税制改正において、平成27年分以後の所得税の最高税率が40%から45%に引上げられたことに伴い、平成28年度以後のふるさと納税に係る特例控除額の算定に用いる所得税の限界税率が、所得金額4,000万円超の場合は45%とすることとされました。
(3)申告特例控除の創設(ワンストップ特例制度)
平成27年4月1日以降に支払った都道府県・市区町村に対する寄附金(ふるさと納税)について、一定の要件に該当する方は、所得税及び復興特別所得税の確定申告書を提出することなく、税制上の優遇措置を受けることができる制度が創設されました(ワンストップ特例制度)。
この場合、所得税及び復興特別所得税における軽減額に相当する額が「申告特例控除」として個人市民税・県民税所得割から軽減されます。
ただし、次のいずれかに該当する場合は、ワンストップ特例制度の適用を受けることができません。
- 所得税及び復興特別所得税の確定申告書の提出を要する方
- 所得税及び復興特別所得税の確定申告書や市民税・県民税申告書を提出した方(給与所得者が医療費控除の適用を受ける場合など)
- 申告特例申請書を提出した都道府県・市区町村の数が5を超える方
- 申告特例申請書又は申告特例申請事項変更届出書に記載した市区町村と寄附した年の翌年の1月1日にお住まいの市区町村が異なる方
(注1)平成28年度市民税・県民税において、平成27年1月1日から平成27年3月31日までに支払った都道府県・市区町村に対する寄附金に係る寄附金税額控除の適用を受けようとする場合は、申告が必要です。
(注2)総所得金額等の合計額の30%を超える額を寄附した方又は上記(1)の特例控除額の計算で上限を超える値が算出される方は、所得税及び復興特別所得税の確定申告書を提出した場合より軽減額が少なくなる場合があります。
※ 「ふるさと納税」をされた場合の税制上の優遇措置の計算方法について
●ワンストップ特例制度を利用しない場合
【1】所得税及び復興特別所得税の軽減額(寄附金控除)
(A)(寄附金額-2,000円)×所得税の限界税率×1.021
- 寄附金額は、総所得金額等の合計額の40%が上限となります。
- 所得税の限界税率とは、寄附金控除を申告する方に適用される所得税の最も高い税率をいいます。
【2】個人市民税・県民税の軽減額(寄附金税額控除)
(B)基本控除額:(寄附金額-2,000円)×10%
- 寄附金額は、総所得金額等の合計額の30%が上限となります。
(C)特例控除額:(寄附金額-2,000円)×(90%-所得税の限界税率×1.021)
- 特例控除額は、個人市民税・県民税の所得割額の20%が上限となります(平成26年12月31日までに寄附をされた分は、10%が上限となります。)。
●ワンストップ特例制度を利用する場合
【1】所得税及び復興特別所得税の軽減額(寄附金控除)
(A)所得税及び復興特別所得税の軽減はありません。
【2】個人市民税・県民税の軽減額(寄附金税額控除)
(B)基本控除額:(寄附金額-2,000円)×10%
- 寄附金額は、総所得金額等の合計額の30%が上限となります。
(C)特例控除額:(寄附金額-2,000円)×(90%-所得税の限界税率×1.021)
- 特例控除額は、個人市民税・県民税の所得割額の20%が上限となります(平成26年12月31日までに寄附をされた分は、10%が上限となります。)。
(D)申告特例控除額:(C)×(限界税率×1.021)÷(90%-所得税の限界税率×1.021)
- (D)申告特例控除額が上記「ワンストップ特例制度を利用しない場合」 の「【1】所得税及び復興特別所得税の軽減額」に相当します。
2.公的年金からの特別徴収制度の見直し
(1)仮徴収税額の算定方法の見直し(特別徴収税額の平準化)
平成28年10月以後に実施する特別徴収から、特別徴収税額の平準化を図るため、仮徴収税額が「前年度分の公的年金等に係る個人住民税額の2分の1に相当する額」となります。
なお、本改正は年間の徴収税額の平準化を図るため、仮徴収税額の算定方法の見直しを行うものであり、税負担となる年税額の増減を生じさせるものではありません。
仮徴収額(4,6,8月) | 本徴収額(10,12,2月) | |
改正前 | 前年度の2月分と同額 | (年税額-仮徴収額)÷3 |
改正後 | (前年度の年税額×1/2)÷3 | (年税額-仮徴収額)÷3 |
(2)転出・税額変更の場合の特別徴収の継続
平成28年10月以後に実施する特別徴収から、公的年金からの特別徴収対象者が他市町村に転出した場合や特別徴収の税額変更が生じた場合、一定の要件の下で特別徴収が継続されることとなりました。
3.住宅借入金等特別税額控除の延長
住宅借入金等特別税額控除の適用期間が1年6か月延長され、平成11年1月1日から平成18年12月31日まで又は平成21年1月1日から平成31年6月30日までに居住の用に供した場合に適用されることとなりました。
なお、本改正は適用期限の延長(対象者の拡大)であり、すでに住宅借入金等特別税額控除を適用されている方には影響はございません。
居住の用に供した日 | |
改正前 | 平成11年1月1日~平成18年12月31日又は 平成21年1月1日~平成29年12月31日 |
改正後 | 平成11年1月1日~平成18年12月31日又は 平成21年1月1日~平成31年6月30日 |
4.株式等及び公社債等に係る所得に対する課税の見直し(平成28年1⽉1日から)
(1)公社債等の課税方式の変更
公社債を国債や地方債などの「特定公社債等」とそれ以外の「一般公社債等」とに区別し、特定公社債等の利子所得および譲渡所得、一般公社債等の譲渡所得を申告分離課税の対象とします。
(2)株式等、公社債等に係る譲渡所得、配当所得、利子所得等の分離課税の見直し
特定公社債等に係る利子所得および譲渡所得について、上場株式等の配当所得(申告分離課税を選択したものに限る)および譲渡所得等との損益通算が可能となり、特定公社債等の譲渡損失のうち、その年に損益通算しても控除しきれない金額は、翌年以後3年間、繰越控除ができることになります。
なお、「上場株式等・特定公社債等」と「非上場株式等・一般公社債等」は別々の分離課税制度となり、両制度間での損益通算はできません。
5.給与所得控除の見直し
給与所得控除の上限額と、上限額が適用される給与収入額が次のとおり段階的に引き下げられます。
給与収入額 | 給与所得控除上限額 | |
現行 | 1,500万円 | 245万円 |
平成29年度 (平成28年分) | 1,200万円 | 230万円 |
平成30年度以降 (平成29年以降分) | 1,000万円 | 220万円 |