(真巌寺の)木造薬師如来坐像【(しんがんじの)もくぞうやくしにょらいざぞう】
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(真巌寺の)木造薬師如来坐像
総高91cm、檜材、寄木造(よせぎづくり)。もとは漆箔像であったらしいが、江戸時代の修理の際、箔を押しかえ、袈裟を茶褐色に彩っている。
玉眼をはめ、白毫、肉髻はともに水晶を入れている。螺髪は粗い。右手は施無畏印をなし、左手に薬壷を持つ通有の像である。顔は面長で面奥少なく平面的である。丸みを帯びた螺髪は粒大きく盛りあがったように見えるが、その彫りは浅く、肉髻も低い。衣文の襞は写実的な所が少なく、単調で形式化が目立つ。
このような素朴な感じのする地方作であるが、膝裏に嘉暦4(1329)年の墨書銘があり、その作風もこの時代に合い、鎌倉末期彫刻の一基準となる貴重な作例である。当寺は薬師寺といい、正平年間(1346-70) に九鬼氏の祖九鬼隆信が創建し、寛永17(1640)年11月に火災に遭うが、本尊のみを救い出し、寛永21(1644)年に寺号を真巌寺と改め今に至ると伝える。なお、本像の台座の制作年代はこれまで不明であったが、平成28(2016)年に行った修理の際、台座に残されたノミ(木材を刳り貫く際に用いる道具)の痕跡が、本体膝裏に残された痕跡と一致することが確認された。したがって、台座においても、本体と同時期に制作されたことが判明した。

指定区分 | 県指定 |
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指定種別 | 有形文化財(彫刻) |
指定登録日 | 昭和31(1956)年5月2日 |
所在地 | 尾鷲市九鬼町字里地314 |
所有者 | 真巌寺 |
一口メモ | 鎌倉後期の地方作 |