最近の星の世界(2014年4月)
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☆最近の星の世界から☆
「恒星で一番明るいのは?」 そう問われると、太陽を除けばおおいぬ座の「シリウス」ですね。では、2番目に明るいのは?
正解は、こと座の「ベガ」・・・ではなく、りゅうこつ座の「カノープス」が正解です。
参考までに明るさを調べてみますと、
シリウス -1.5等星
カノープス -0.7 〃
ベガ 0.0 〃 (2014理科年表)
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、星の明るさは数字が“小さい”ほど明るいのです。ちなみに太陽の実視等級は、-27.65等星。数字が小さいほど明るいとは、試験の成績とは逆ですね。
さて、このカノープスという星、みなさんは観たことがありますか?
シリウスの南をたどっていくとあるのですが、天文ファンでもほとんどの人が観ていないという星です。星の位置が南に低く、条件がよくても水平線すれすれを通っていくのです。ちなみに、尾鷲からは高度3度14分。腕を伸ばして手を分度器にした時、親指の幅より少し広い程度です。残念ながら、天文館からは観えません。
かろうじて観られる場所ですが・・・尾鷲では真南に障害物や光のないところが少なく、なかなか観られません。また、山奥に入って熊さんや鹿さんと一緒に観察というのも避けなければなりません。
というわけで、来シーズンの下調べに行ってきました。水平線上に雲のある悪天候でしたが、かろうじて確認できました。ご覧ください。
カノープス
「???」
標準レンズでの像です。
水平線上の明かりは、漁船と航路を行く船。
低空に雲が・・・
でも、かろうじてカノープスは写っているのです(矢印箇所)。
クリックして拡大画像をご覧ください。
2014.3.11.19:01 58mm F1.2(5.6)
ISO 1600 10 秒 RAW→jpeg
星の場所が分かったので、望遠レンズで迫ります。
それでもまだ「???」ですね。これも拡大画像でご覧ください。
ちなみにこのカノープス、日本では「南極老人星」と呼ばれ、見ると
長生きする等と言われています。
実は太陽より温度の高いF型星で、年齢的にはまだ青年~壮年という
ところでしょう。少し不本意な呼ばれ方ですね。
2014.3.9. 19:06 180mm F2.8(5.6)
ISO 1600 8秒 RAW→jpeg
上の画像撮影より2日後、再チャレンジしました。
月齢が10と明るいため普通は諦めるのですが、この春では最後の
チャンスなので、食い下がりました。
さすが、全天第2の輝星です。薄雲があっても、南中像はこの通り!
背後で鹿が大きな声で鳴いています。子鹿の姿も見えます。どうやら
近くに寝床があるみたいです。ごめん、すぐ終わるからね。
望遠レンズに変えて10秒露出の画像を20枚重ねてみました。
すると、こんな画像になりました。
初めて見てから50年ぶり!
これで5年は長生きできるでしょうか。
写真と文:湯浅祥司
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