最近の星の世界(2020年12月)
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~ 尾鷲市立天文科学館より ~
偶然と偶然とが
重なりあう瞬間 それを
奇跡と呼ぶのなら、
星空は、そんな奇跡に
満ちあふれている世界と
いえるのかもしれません……♪
それでは中村山からの天体解説、湯浅さん、よろしくおねがいしま~す♪
寒空の奇跡……
はい こんにちは。天文科学館の撮影および解説担当、天体観測指導員 湯浅祥司です。
では さっそく、今月もまいりましょう 「最近の星の世界」。
木星と土星と衛星と
今月のトピックスは400年に一度という、太陽系2大惑星の接近です。
木星と土星の接近はおよそ20年に一度あるので、そう珍しい現象でもありません。ところが、角度で0.1度、月の直径の1/5となると、話は別です。視力が0.3以上ないと1つに見えてしまう角度なのです。
1200年から2100年まで900年間計算してみると、今回のような大接近が4回あります。
① 1225年 3月 5日 離角0.03° 日の出時の高度 18°
② 1623年 7月17日 離角0.08° 日没時の高度 8°
③ 2020年12月22日 離角0.10° 日没時の高度 22°
④ 2080年 3月15日 離角0.10° 日の出時の高度 21°
紀元1年から今回までのなかで、6番目に近いこともわかりました。また、①② は望遠鏡のない時代の現象なので、一つに見えていたと思われます。
星図で、写っている天体を確認しましょう。
背後にある恒星(GSC 6323.2044,2045) と比較すると、2惑星の動きがよくわかります。
惑星の衛星の動きも、よくわかります
※中央のサークルが直径0.1°の円です。
ベツレヘムの星
キリストの誕生を知らせたというベツレヘムの星には、超新星・彗星・惑星接近やフィクション説などがあります。ドイツの天文学者ケプラーが惑星接近説を唱えてから、この説が最も有名にりました。今回のような大接近ではなかったのですが、BC7年には3回も接近しており、しかもエルサレムでは夕方高度約45度で見えていたようです。そのうえ8ヶ月間も近くで並んでいたので、ほとんどの人が見たことでしょう。
BC7年 5月29日 0°59′(1.98°)
7年 9月30日 0°58′(1.97°)
7年12月 5日 1°03′(1.05°)
「ベツレヘムの星」が惑星接近と特定はされていませんが、12月の末に今回のような現象が見られたのは、興味深いことです。
2020年末「木星・土星の接近~経過」……3日間の動きをひとつにまとめた、2大惑星大接近の模様です。
良いことが起こりますように! とつい、期待してしまいます。
さて、今月の中村山 山頂ドーム発 「最近の星の世界」、
いかがでしたでしょうか。以上、
尾鷲市立天文科学館 天体観測指導員、湯浅祥司でした。
湯浅さん、ありがとうございました!
残念ながら「最接近」時の観察は
日本ではかないませんでしたが、
それでも、こうして各衛星たちの
模様までわかってくると、
やはり宇宙という壮大な空間を
思わずにはいられませんね……。
次回もどうぞ よろしくおねがいしま~す!
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ではまた 次回の 星の世界で!
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