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あしあと

    最近の星の世界(2020年5月-2)

    • [公開日:]
    • [更新日:]
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    ~ 尾鷲市立天文科学館より ~




     その 壮大な フシギ……

     星空を 見る。
     ある意味 それは、
     ほんとうは、すごく贅沢な
     瞬間なのかも しれません……



    それでは中村山からの天体解説、湯浅さん、よろしくおねがいしま~す♪



    春の星空散歩



    はい こんにちは。天文科学館の撮影および解説担当、天体観測指導員 湯浅祥司です。

     

     

    では さっそく、今月もまいりましょう 「最近の星の世界」。



    ~北極星の移動~


    地上では疫病がはやっています。気分転換に、春の星空散歩をしましょう。


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    みなさん、日周運動とはちがって長い時間をかけて、北極星が移動していく、という話を聞いたことがありませんか? 26,000年という、気の遠くなるような時間をかけて、「北極星」が動いていきます。現在はこぐま座α(アルファ)星がその「当番」を務めていますが、12,000年後には、こと座のベガが北極星になるそうです。これを「歳差運動」といいます。


    動きの証拠を検出できないだろうか、と思って56年まえに撮った古い写真をひっぱり出しました。画像は1964年10月、前回の東京オリンピックの年に撮影したもので、露出時間は1時間15分です。


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    こちらは今年4月22日に撮影。 空全体がすこし明るくなりましたが、暗い星は相変わらずよく写っています。偶然ですが、写した場所は互いに82mしか離れていません。


    昔はキツネやタヌキが走り回っていた市の苗圃(びょうほ=ヒノキの苗を育てる畑)だったところが宅地になり、そこへ現在の観測所が建っています。


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    古いほうの写真(1964年10月撮影分)。まず、欲しいところを切り取ります。つぎに、わかりやすいように白黒にします。


    コンパスを使って10個ほどの光跡から垂直線を引き、真の北極を割り出します。+のマークが、その中心点です。


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    新しいほうの写真(2020年4月撮影分)。古い写真にあわせて、画面を回転させます。


    先ほどと同じ作業をくり返します。


    2枚の写真をじっくり見くらべてください。北極星の歳差移動が確認できました。


    50年後のほうが、天の北極が北極星により近いのがわかります。2,100年まで近づいていきます。


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    極軸のセッティング。

    写真も撮れるような立派な望遠鏡を手に入れたとき、据付でまっさきにしなければならないのは、正確な北極星の導入です。これが合っていないと、星は点像になってくれません。


    そこで望遠鏡に組みこまれた極軸望遠鏡をつかって、正確な据付をします。左はそのパターンの例です。年によって微妙に合わす目盛りになっています。歳差移動があるため、最初が一番難しいのです。



    おとめ座超銀河団


    おとめ座が見やすい位置にやってきました。明るく有名な天体が少ない場所ですが、遠くの銀河が密集していることで知られています。


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    おとめ座からかみのけ座にかけてひときわ密集しているところに、カメラを向けてみました(白い長方形)。


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    白黒に加工。番号を書いてある一番暗い銀河は15等です。拡大すると、もっと暗い銀河がたくさん写っています。

    宝石箱をひっくり返したように、銀河がざくざくと写っています。


    M87は昨年、太陽質量の65億倍もある超巨大ブラックホールが見つかった銀河。1300~2000個あるといわれる銀河集団(銀河団)の中心といわれています。私たちの銀河系やアンドロメダ銀河、大マゼラン雲などは、この超銀河団のはずれに位置しています。

    ※M=メシエ天体 番号のみ=NGC天体  I=IC天体


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    左上の「マルカリアンの鎖」という有名な構造の一部を拡大しました(空のきれいな晩に、もう一度チャレンジしてみます)。


    しし座デネボラ、おとめ座スピカ、うしかい座アークトゥルスに囲まれた「春の大三角形」のなかには、天の川銀河のような銀河が集中しています。 ”マルカリアンの鎖”といわれるM86を中心とした銀河の集まりです。1960年代、鎖を構成する10個近い天体に共通する固有運動を発見した、旧アルメニアの天文学者B.E.マルカリアンにちなんで命名されました。

     

    この銀河群は、1300~2000個の銀河が集まっているM87を中心とした直径2億光年のおとめ座超銀河団に含まれています。近年さらに大きな構造の研究がなされ、10万個が5億2000万光年のなかに集まっていることがわかり、ラニアケア超銀河団と名づけられました(2014年)。

     

    春の淡い銀河の集まりは、まさに「神の神」が住んでいそうな場所です。

     

     


    さて、今月の中村山 山頂ドーム発 「最近の星の世界」、

     

    いかがでしたでしょうか。以上、

     

    尾鷲市立天文科学館 天体観測指導員、湯浅祥司でした。

     

     

     

     

    湯浅さん、ありがとうございました!

    特別版となりました「最近の星の世界」、 

    次回もどうぞ よろしくおねがいしま~す!



    ~ 天文科学館からのご案内 ~




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     ではまた 次回の 星の世界で!

     



     

     

     

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