最近の星の世界(2018年9月)
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~ 尾鷲市立天文科学館より ~
名月の季節……
しかしそれも、
おだやかな天候
あってのことかも
しれません。
夏の終わり、秋の入り
はい、こんにちは。尾鷲市立天文科学館の撮影および解説担当、天体観測指導員 湯浅祥司です。
では、まいりましょう。中村山発、「最近の星の世界」。
風雨の季節……?
今年の夏から秋にかけては、雨ばかりでした。それも、単なる雨ではなく、台風による風雨でした。悪天候は天体観察の天敵。ですが、天体の写真を撮るともなると、ここに、さらなる障害があらわれます。月光が明るすぎる場合、かえって星々がしっかり写りませんし、また、新月近くなどで月明かりの影響が少ない日などでも、晴れていても、雲霞みや大気のゆがみ、湿度過多などで写真を撮れるレベルにない空のときなどは、撮影作業を諦めるしかありません。
そして今回、9月28日に好天のチャンスが訪れました。写真を撮れる程度に空が暗くなる、天文薄明の終わる19時30分ごろから、月が昇ってくる20時あたりまでが絶好の頃合いです。ここ2ヶ月ほどのあいだ見送らざるをえなかった、いくつかのメシエ天体を狙います。M11、14、16、17、18、23、24、25、26……入館者の皆さんにもシャッターを押して欲しい……時間が足りない……それぞれ数枚ほど撮影してから、ようやく土星・火星・アルビレオ・ベガの観望会となりました。そして、……次の日からは、こんどは台風24号が北進をはじめ、当地もまた、雨模様へと戻ってしまいました。
M11
およそ200個もの明るい星々が集まった散開星団(たて座)。見応えのある星団で古くから天体観測者に注目されている。最も銀河の濃い部分にあってなお、存在感がある。
光度:6.3等星
距離:5610光年
見かけの大きさ:12’
赤経:18h51.1m
赤緯:-6°16’
M14
星の少ない空間に輝く、密度の高い、きれいな球状星団(へびつかい座)。1938年に新星が発見された、2番目の球状星団として記憶されている。
光度:7.7等星
距離:30300光年
見かけの大きさ:7’
赤経:17h37.6m
赤緯:-3°15’
M16
銀河の中心方向にある、通常「わし星雲」と呼ばれているきれいな散光星雲(へび座)。例外的な見事さにR・バーナムは「女王星雲」という名を提案した。無数の星々が生まれている場所である。
光度:6.4等星
距離:8150光年
見かけの大きさ:46×37’(天文年鑑)
赤経:18h 18.9m
赤緯:-13°47’
台風24号
手元のアネロイド気圧計はどんどん下がり、ついには目盛り以下にまで。尾鷲を通過して30分後に、ようやく針が上がり始めました。
2018.9.30.20:55'
尾鷲最接近
2018.9.30.20:40'
気圧計の様子
957mmb
わが天文館の3F部分、銀色ドーム周辺にもいち部実被害が出てしまい、スタッフ総出で復旧作業をほどこすに至った今季の天候不良。残念ながら各地でも甚大な被害をまきおこす大事態となってしまいましたが、いま、こうして思うと、現代の最先端科学などをもってしても、まだまだひとは、その日の天候にさえ、さからえるほどのものですらないと言えるのかもしれません。
さて、今回の山頂ドーム発「最近の星の世界」、
いかがでしたでしょうか。以上、尾鷲市立天文科学館 天体観測指導員、
担当 湯浅祥司でした。
湯浅さん、ありがとうございました!
3Fフロア、たしかに たいへんでしたが、
あの程度で済んで、当館など
すごく 幸運だったほうなのでしょうね……。
では、次回もまた よろしくおねがいしま~す。
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それではまた、次回の 星の世界で!
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