「特別寄稿」 2011年3月11日金曜日 ~尾鷲湾の潮位変化~
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3月11日15時、東北地方で大きな地震が発生したというニュースが流れた。テレビの前で注目していると、広大な畑を一直線になった黒い大きな波が押し寄せているシーンに目を奪われた。車道を走っている車は反対方向へ逃げているが、渋滞が目の前に迫っている。中には、パニックになったのか、波の来る方向へ走っている車もあった。
尾鷲でも津波警報が発令され、街中は騒然となった。
中村山は標高50m。天文館から尾鷲湾の潮位変化を記録するため、カメラ一式持って、天文館へ走った。市役所前の交差点では、車が異様に並んでいた。
16時から天文館屋上で撮影を始める。
港では多数の漁船が、堤防の外へと避難していた。その数およそ50隻。なおも湾外へ向かう船が見られた。
やがて潮位に大きな変化がないことが分かると、港へ戻る船が出始めた。その頃から潮位が下がり始め、17時30分頃には堤防の間を海水が渦を巻きながら外へ流れる様子が観測された。港内の沈殿物が巻き上げられ、海が黒く濁る様子も確認できた。
天満の築港へ戻ろうとしていた船は、築港入り口が滝のようになって、中へ入ることができず、また異変に気がついて、大急ぎで再避難する様子が見られた。このときの潮位の変化が最も大きく、-3.8mになった。
17時40分過ぎまで観測して、大きく潮位が上がる瞬間は確認できなかった。
当日は気温が低く風もあり、また暗くなってきたので、ここで撮影を諦めた。
後日調べると、堤防上部は高さ4.4m、幅9.0mある。波打ち際を示すラインには牡蠣が付いているので、普段の高水位はFL-4.0m前後と思われる。潮位変化のあった時刻は、やや引き潮状態で、そこから更に3.8m下がったことが、写真を解析して確認できた。
翌12日12時頃、北川橋付近で水面が0.5mほど20~30分で増減しているのが確認できた。
2011年3月11日尾鷲湾潮位変化
20分間で潮位が3.8m下がった。
・2011年3月11日14時46分18.1秒東北地方太平洋沖地震発生Mw=9.0
尾鷲市立天文科学館天体観測指導員 湯浅祥司
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