☆最近の星の世界から☆
最近の星の世界 2016.9
この夏は雨が多く、思ったように星空を眺めることができませんでした。
夏の天の川には名所・旧跡が目白押しで、特に南の空が魅力的です。
東紀州では場所を選べば光害も少なく、天の川がよく見えます。天文館では月明かりのない星見びよりの夜、来館者の皆さんにも天体用カメラのシャッターを押してもらっています。目的は110の有名天体の姿を1枚のポスターにまとめることです。
位置・月齢・透明度の条件が揃ったときは、ご協力をお願いします。
三裂星雲(M20)
5月に書かせてもらったように、レンズを替えて三裂星雲を写しました。焦点距離は1050mmなので、倍率は前回の5.8倍になります。距離は5600光年、直径15’で月の直径の半分もある散光星雲です。
三裂星雲(下の赤い星雲)の 中心にはお互いに引き合っている三重星(厳密には六重星)があり、星間物質を輝かせているそうです。
三裂というネーミングは250年前、イギリスの天文学者ジョン・ハーシェルとされています。現在の画像では赤外線も写るためきれいなピンクですが、当時は眼視観測のみだったので、鮮やかな色彩は見えなかったようです。
干潟星雲(M8)
三裂星雲のすぐ南1.5°にある散光星雲で、見かけの直径は満月に近い25’、距離は3900光年です。このことから干潟星雲と三裂星雲は直接関係のないことがわかります。
1680年イギリスのフラムスチードが記録に残しており、300年以上前から知られていた星雲です。
中央左上(北東)から右下(南西)に向かう暗黒の筋と平行して走る白いフィラメントの印象から、1890年アグネス・M・クラークが自著の中で干潟という名称を使ったそうです。
天文学者の間では異論もあるところです。