最近の星の世界(2013年10月)
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☆中秋の名月☆
9月19日(木)は中秋の名月でした。この夜の月齢は14.0の満月で、天文館ではスカッと晴れた夜空の下、20人近い皆さんが名月を眺めることができました。81cm望遠鏡では明るすぎたため、「長く見ないように!」と注意するとともに、スリットの影に望遠鏡を半分くらい入れて眺めました。また、望遠鏡の焦点面に手を置くと、月明かりで手が温かくなることも皆さんに体験していただきました。
実は満月といっても、地球からは月が完璧な円に見えることはありません。太陽の光を反射して見える月が本当の円に見える場合は、太陽と地球と月が一直線に並んだ時となりますが、地球と月は公転面がずれているため、通常の満月の場合には一直線には並びません。さらに、地球と月の周期が合って太陽と地球と月が一直線に並んだ時には、皆既月食(あるいは皆既日食や金環日食)になるからです。
また同じころ、伊勢の外宮では観月祭が行われていました。中秋の名月に食物を供えるのは、農作物収穫への感謝の気持ちという説があります。
ちなみに、月に関わる名作に「金色夜叉」(尾崎紅葉)があります。熱海の海岸で宮に寛一が問い詰める台詞が有名ですね。「一月の十七日、宮さん、よく覚えておき。来年の今月今夜は、寛一は何処で此月を見るのだか? 再来年の・・・十年後の・・・」と続くわけです。
1873年元日の改暦以降執筆完了の1902年まで、月齢17の宵を探してみると、唯一1892年(明治25年)があてはまります。毎月日付と同じ月齢になるのは太陰暦(旧暦)の世界。改暦から24年後の作品が旧暦のまま、というのは腑に落ちないところですが、それでは名台詞が成立しませんから、文学の世界として理解することにしましょう。
中秋の名月と尾鷲湾
天文館からは、風も波もなく、最高の月見ができました。
この画像は、目で見た感じに近い画像です。
(数人のグループもすぐ下で名月を撮っていました)
2013.9.19 18:48' ISO400 1/13秒
24-85mm(85mm) F=5.6
双眼鏡で見た感じの満月
天体用双眼鏡は7倍が主流です。
300mmの望遠レンズで撮ると見かけ上6倍になり、双眼鏡で見た感じに近くなります。
2013.9.19 18:52' ISO400 1/20秒
100-300mm(300mm) F5.6
天文館の望遠鏡で、その1
大きい望遠鏡に乗っかっている口径150mmの望遠鏡では、こんな見え方です。
2013.9.19 20:12' ISO400 1/15秒
φ150mm f=1050 F7 RAW
天文館の望遠鏡で、その2
上の画像を見やすいように切り取ってみました(トリミングといいます)。
月面の海と呼ばれる濃淡がくっきりと見えてきました。
天文館の望遠鏡で、その3
同じ画像の一部を更に拡大しました。
すると、満月なのに、南の縁(この画像では上が「南」になります)にクレーター
(の影)が見えます。これは、太陽-地球-月が一直線上になく、地球が少しだ
け南を通っている(地球と月の公転面がずれている)からです。
このとき月までの距離は374,300kmでした。
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