最近の星の世界(2026年9月)
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~ 尾鷲市立天文科学館より ~
晴耕雨読
8月1日おわせ港まつり花火の時、雲の間から満月を見てから晴れ間なし! 月の出ているときは天体写真は撮れませんので、めったにない丸2ヶ月の開店休業です。こんな時は仕方ないので、晴耕雨読と参りましょう。
晴れていたら天頂で見えているはずの「はくちょう座」をさまざまな星図で見てみましょう。
新標準星図
一昔前は、天文ファン必携の星図でした。天文ファンでお医者さんの中野繁氏が手書きで作成された星図。監修はこれも懐かしい元東京天文台台長の広瀬秀雄氏です。昭和42年(1967)発行・A4版見開き28図。7等星まで。
「眼視用星図」といわれるもので、はくちょう座が1ページの中に収まっています。
野外に出て観察するときに必要な情報はほとんど載っており、星名や散光星雲も記入されていたので便利でした。また、星座や星名は赤い文字で印刷されており、観測用の赤い懐中電灯では見えなくなるので、星空の下ではすっきり見え重宝しました。
60年経った今でも、時々使っています。
※各星図の下に大きさ確認にスケールを入れてあります。
ベクバル星図(赤道)
旧チェコスロバキアのA・ベクバルが星にスペクトルの色を付けて手描きで作成した大きな星図。64cm×47cm(A1 に近い)あり、24枚の図が描かれています。北天・赤道・南天3部一組で一冊2.kgあるので、屋外では使えません。極限等級<9.75 等星(1964)
描かれているのは恒星だけで、星には固有名は書かれておらず、αβなどのバイエル名とフラムスチード番号が書かれているだけです。
実際に使うことはほとんどありませんでしたが、見ていてきれいな星図です。
SAO星図
URANOMETRIA2000.0 (ウラノメトリア)
京都H α星図
京都大学が奈良県大宇陀観測所で、日本製の幻の大口径比マクストフ・カメラ(口径比1.4/焦点距離200mm)K1420で撮影した銀河の H α光画像の、83枚からなる写真星図です。シュミットカメラのように丸くカットした103a-EフィルムにSC64フィルターを使って撮影されました。(1982)
SAO星図と同じように、バラバラのシートで天体名などが書かれた透明シートが付いていて、検索が便利になっています。星座名や星名はありません。座標は銀経・銀緯なのでとまどいます。また「銀河写真」なので、銀河付近しか写っていません。
サンプルはデネブ近くの北アメリカ星雲がよく写っていますが、デネブはこの大きい星かな、ということになります。
閉じるときは紐で括る、四方囲み帙(ちつ)という和風の珍しい装丁になっています。
※天文館には貴重なハンス・フェーレンベルグのVehrenBerg写真星図があります。
real sky
パロマ写真星図とESO画像をCD化した星図で、一般的に手に入る一番詳しい写真星図です。圧縮が1/10と1/100があり、これは北天8枚・南天10枚の普及版。20~22等星まで確認できます。検索に相応の時間がかかりますが、最も信頼できる資料になります。読み取るには古BW Basicが必要になるのがネックになります。
最近ではパソコンソフトのStellaNabigatorでも取得できるので、急ぐときはそちらを使うことが多くなっています。
最近の望遠鏡は高度なコンピューター制御ができるようになってきました。ボタンを押せば目標天体を導入してくれ、撮影も画像処理もしてくれます。高精度な天体動画を撮影するベラルービン天文台も動き始めていますから驚くことではないのですが、自分で見たい、あるいは撮影したい天体を探し出すことも、天体観察の楽しみのひとつであることに変わりありません。早晩彗星捜索や小惑星発見は自動化が進みそうですが、今この星に注目しているのは私だけかもしれない、という観察のスリルはまだまだ続きます。
尾鷲市立天文科学館天体観測指導員 湯浅祥司
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